2011年02月24日

映画「山猫」を見ました。

ルキノヴィスコンティ作「山猫」を見てきました。



つい最近、NHKでヴィスコンティのこだわりについて
見たばかりでした。
ヴィスコンティは、セットの外に飾られた薔薇の花を見て
「なんだこれは、造花じゃないか。植え替えろ」と指示を出したそうです。
ほとんど映り込まない風景にまで
本物を追求するのがヴィスコンティスタイルなのでありました。

「山猫」は没落しようとしている貴族を描いた映画です。
本物を追求した貴族映画ですから
これはもう、絢爛豪華。
目を奪うような衣装、室内装飾、美術品。
いやはや、ため息の出るくらいに貴族の世界がきっちりと描かれていました。

没落する貴族と新興のブルジョアジー。
金持ちたちの日常を描きながら
変わっていくものと変わらないものを緻密に表現した作品でした。

貴族の生活は美しく飾り立てられ、ゴテゴテとしていて
ハッキリ言ってしまえば不必要なものに囲まれています。
しかしそこには人を惹き付ける魅力があるのも事実です。
キラキラした生活がしたいと望むのは
夢見がちで純粋な、罪のない可愛気のあることかもしれません。
しかし生まれてこの方社交界で暮らしてきた貴族たちにとっては
それが代わり映えのしない、うんざりとしたものに見える。

つまり、自分の存在価値がそこに感じられないんじゃないか
自分がいてもいなくても、なんにもかわらないんじゃないか
そういう風にも思えてくるのかもしれません。


終盤の舞踏会のシーンは、
本物にこだわったヴィスコンティによる演出の
絢爛豪華な社交界が描かれますが
これが特別なことではなくて、日常的に行われる
ごくごく普通のことだと観客が気付いた時に
一瞬で醜悪なものに姿を変えるのであります。
はっきりと描かれないだけ、その感覚には個人差があると思え
ぼくはこの映画の恐ろしさに気付いたのでありました。

オススメの映画です。
3時間あるけど。
posted by m.hiro at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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